桜と光の火継
(未来捏造・寿命等注意)…俺と関わっていた人は皆死んだ。
任務やあの時に散った命もあるが、殆どは寿命だ。
あの二人は寿命で逝った。
墓参りをしながら、俺はこんな事を考えた。
(貴方達の人生に悔いはなかったのだろうか)
「……愚問だなぁ、悔いはなかったかもなぁ。」
(我ながら変な事を考えた物だ)
そう思いながら歩を進めると、遠くから見慣れた姿を見た。
「紫おばさ〜ん」
「ふふっ」
(おばさんじゃなくておばあちゃんなんだけどねぇ)
一人の子供が近寄って来た
その姿には何処かあの二人を思わせる。
「ねぇねぇ、私のお爺ちゃんとお婆ちゃんの事、教えて?
あっ、あのお爺ちゃんが偶に言ってた、ヨウって誰?」
「…あぁ、あの子か。あの子はねぇ〜」
(数分経つ)
「色々教えてくれてありがとっ、紫おばさん!」
「こっちも色々話せて楽しかったよ。さてと、そろそろ夕暮れ時だね。子供はおうちに帰る時間だ。お家にお帰り?」
「うんっ。ばいば〜い!」
「ばいばい。」
(礼佳ちゃん、紫苑君、貴方の遺した未来は俺が見守っていますよ、貴方達の人生は色々な事があった。 今はただ、ゆっくりお眠り。)
「いつか俺もたっくさんのお土産話を持って、そっちに行きますね。」
そう呟きながら帰路に着く彼女の目の前を夕焼けが暖かく照らし、桜の花弁は刹那に空を舞っている。
いつかは太陽も沈み、桜も散る。
だが、時が経てば太陽はまた登り、桜も咲き誇る。
生まれ変わった皆に出会った暁には、言葉を紡ごう。
「おかえり」と。
今日も狐は空を見上げる…その瞳には、雫が落ちているだろう。
fin